妻が平井 堅のファンで、ある時2枚組のCDアルバムを買ってきました。そのなかの1曲「思いがかさなるその前に」の間奏で演奏されるハーモニカは実に感情が伝わり脳を激しくゆさぶりました。
こんな風に吹けたなら素晴らしいと思い演奏者を調べました。八木のぶおさんという方でした。楽器はブルースハープ。10穴しかないのに3オクターブ音域があり、サックスにも負けない感情表現ができる。そして誰にでも手が届く価格の楽器に魅せられた私は、ネットで八木さんのライブがあることを知り、後輩の女性を誘って聴きに行きました。
私たちはその力強さに圧倒されました。
ライブの終了直後に私は八木さんに直接弟子入りを志願しました。受け入れてもらえるかちょっと不安でした。
「いいですよ!」の言葉を聞き私は有頂天になりました。
翌日、お茶の水の楽器店で手頃で質もいいドイツ製のブルースハープを買いました。
そして月1回のレッスンが始まりました。
最初は楽器の持ち方、呼吸の仕方など初歩の初歩からでした。
今はジャズっぽい曲や映画音楽などをレパートリーにしています。
ある時会社の昼休みに東京ミッドタウンの公園でブルースハープを吹いていたら、麻布の小学校の女の子が近づいてきて曲をリクエストされました。レパートリーではありませんでしたが、知っている曲だったので演奏できました。女の子もハーモニカにあわせて歌ってくれました。
話をしているうちに彼女は中国人だというこが分かりました。親が料理店で仕事をしていることもわかりました。彼女は男の友達が多いのか、「おれはねえ」と話していました。
その公園では結婚式を終えたカップルが記念写真を撮っていることもありました。私がハーモニカで結婚行進曲を演奏すると素直に喜んでくれました。
旅行に行く時も私のお供はブルースハープです。ポケットに入る楽器ですが、小さな巨人です。